1912年創業の老舗レストラン、
カフェ・デ・タクバ(cafe de Tacuba)だ。
フリーダ・カーロとディエゴ・リベラが
披露宴を挙げたことでも有名である。
入店をすると
ランチタイムを過ぎているにもかかわらず
客席は満席だった。
一見ナースにも見える白い衣装を身にまとった
給仕係の女性たちが印象的で
忙しそうに料理を運んでいた。

店内にはタイルや壁画の装飾がにぎやかで、
それだけでも入った甲斐があった。

着席してオレンジ色の洒落たメニューを受け取り、
開いてみると曜日ごとに変わる
日替わりセットが明記されていた。
310ペソと書いてある、
大体1800円くらいするけど束の間の贅沢に
ダメ押しで53ペソするビールも一緒にオーダーした。
昨日のリッタービールが86ペソだったことを思うと、
どうしても高く感じてしまう。

しかし頼んで正解だった、
一日中歩き回っていたし、
スプライトの一本では渇きに対して到底足りていなかった。
注文したビール、
ボヘミアは全般的にあっさりめなメキシコビールの中では
良い感じにホップが利いており、コクもある。
でもアルコール度数は4.6%と少し控えめ。
(日本のビールは普通5%)
もうコロナだけとは言わせない。

料理が次々に運ばれてきた。前菜から始まり、

深めのボウルにたっぷりと注がれたスープ。
美味しいけどちょっと多め。

日本人だからか米がやたらと美味しく感じた。

そして問題児がメインのポージョ(pollo)。
鶏肉のことだ。
パサパサとした食感な上に味が正直まずかった。
カレーだとかデミグラスみたいなソースが掛かっているがぜんぜん違う。
(正直それが掛かっていたほうが良かった。)
完食はしたがあまりにも独特すぎて自分の舌には合わなかった。
これはモーレソースと言って、
唐辛子、木の実、チョコレート等を使ったもので
メキシコ人の最高傑作と言われる逸品。。。
のはずだがなにか薬のような味わいがあり、
繰り返しで恐縮だが不味い。
実に珍妙な味だった。
でも良薬なのかもしれない。

締めのデザートは牛乳でつくる米の粥?
米で甘いものが苦手なわけではない、
おはぎは好きだ。
でもこういった類のは
食べられないことはないが別に好きではない。

というわけで雰囲気は間違いなく100点満点であったが、
味は自分の舌が庶民派なのか、
もっと大衆的なところのほうが
うまいと感じてしまった。
フリーダ・カーロファンや内装に興味があるだとか、
雰囲気を楽しむ旅行客にとっては良いとは思う。

メキシコ料理は小学生時分から
姉妹友好都市ということで、
毎年2月に給食の献立としてタコスが出されていた。
個人的には粋な計らいだとその時から思っており、
各姉妹友好都市の献立が一年に一度必ず組まれていた。
だので、メキシコ料理に対しては
勝手に得意意識があった。
が、結果は惨敗だった。
ドンタコスも好きだが。
和食の登録から遡ること3年、
2010年にユネスコが無形文化遺産に認定した料理。
(別に美味しいから登録しているとは言っていない)
それでもタコスは好きだし、
大学生の時はテキーラばかり飲んでいた。
近そうでまだ遠い、メキシコ。
入口の方に振り向くと美しいステンドグラスが見えた。
