墨と玖#9 39時間の長い一日


何を頼んでよいのやらわからなかったので、
渡りに船だとばかりに横に腰掛けている
刺青の男におすすめを訊いて頼んだ。

牛肉を使ったタコスだ。
牛肉はbistecというらしいが覚えられる気がしない。
ライムと一緒に供された。
カウンターにはいろんなタバスコがあり、
辛さがどれも違うようで、
辛くない順に説明をしてくれた。

途中その彼の彼女と思しき女性も合流して、
みんな各々リッターでビールを注文した。
その彼女は妙なビールカクテルを注文していた。
あれはきっとミチェラーダというやつであろう。
ライムや唐辛子、タバスコなどを入れ、
ジョッキの縁にもベッタリと唐辛子がついていた。
色も赤黒く、あまり美味しそうには見えなかった。
でもきっとうまいんだろう。

みんなで乾杯をした。
「サルー!¡Salud!!」

話が弾むと彼の方はサッポロ黒ラベルが
大好きだと説明してくれたり、
彫師だということもわかった。
料理もすべて美味しく、
アボカドとタコのタコスは絶品だった。

結局2.5リッターのビールをそこで飲み干した。
疲れもだいぶ出てきてはいたが、
マリアッチの演奏が聴いてみたいと
話をしていたら、皆で行こうという話になった。

3人で歩いてガリバルディ広場に移動して、
生演奏を聴きながら再びビールを飲んだ。

Carta Blancaという銘柄の瓶ビールを
2本ほど飲んだくらいから、
一日の疲れが出てきたようで、
もう眠くて眠くて、
半分実際寝てしまっていたと思う。

それでも途中彼らの友人が2人合流して、
とても楽しい時間を過ごすことができた。

そしてなんと4人に宿の場所を伝えると、
快く自分を宿まで送ってくれたのだった。
途中立小便を彼らがしていたのはなんとも可笑しかった。
良い酒を良い人たちと、
良い音楽に包まれながら、
存分に満喫することができた。
素敵な時間を初日から過ごせてなんとありがたい事だろう。
彼らがメキシコでの第一印象となったのは言うまでもない。
良い国だ。

4人をファインダーに収めて固い握手を交わし別れを告げた。
疲れているときに、
ノーフラッシュで撮ったので少しぶれてしまったのが残念だ。

既に時刻は2時くらいだった。
メキシコは日本と時差が15時間もあるので、
自分個人の一日は39時間にも及んだ。
とても長い一日だった。


左利き(酒飲み)で旅好きなアラサー男子。 猫好きのバイク乗り。 カワウ速報の由来はカワウソに似ている、 ということをきっかけにカワウソ推しになったからと、 単純にダジャレを使いたかったから。

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