出発が遅れた分がそのまま遅れ、
21時過ぎに列車はリュブリャナに到着した。
同じコンパートメントで相席をしたノルウェー人に、
「Good journey!」
と言われ別れた。
気持ちの良い人だった。
とても静かだった。
そして随分と冷える夜だった。
駅で先ずは、次に向かうウィーン行きチケットの情報を
インフォメーションカウンターで尋ねた。
ものすごく運の良いことに、
明後日の16:00発に限り、
29€という特別価格があると教えてもらうことができた。
その足でチケットオフィスへ行き、
窓口のおばちゃんから先ほどのチケットを購入した。
払い戻し等は利かないと丁寧な説明を受けた。
駅を出ると、より一層寒く、暗く、町は静まり返っていた。
メモしておいた住所を頼りにぽつりぽつりと歩き始めた。
川の流れる通りに出ると、
少しずつ少しずつ柔らかい明かりが見えて来た。
リュブリャナの中心地まで来ると、
町のシンボルでもある三本橋が現れ、
レストランの前では、
頭に傘の付いた屋外用ガスストーブが赤々と灯り、
街灯はやわらかな光がちょうど、
あたりを包むような雰囲気を演出していた。
おまけに頭上に目をやると、
絵画が宙吊りにされ、浮いていた。
実に妙な感覚になった。
疲れも手伝ったのか、
冗談を抜いて御伽噺の中に迷い混んでしまったのでは?
と真剣に思える不思議な不思議な光景だった。
プラハでは何も感じなかったのに、
よもやスロベニアでこういった気分になろうとは。
奇々怪々。
妙な体験をした。
ぼぉーとしたまま歩いていると、
小さな看板を見つけ目的の宿だと分かった。
店の名も知らないのにである。
店の入り口にはインド系の顔をしたジプシーのような、
2、3人の人が代わりに、
インターホンを押してくれて扉が開いた。
彼らも宿泊客のようだった。
運の良いことにユースホステルで、
ホステリングインターナショナルの会員カードが使えた。
中に入るとブロンドの女性が受付をしていた。
ドミトリールームを希求するときちんと空きはあり、
シーズンオフで、
レギュラー料金より幾らか安くなっていた。
2泊で26.02€だった。
聞いていた情報によると、
日本語を話せるスッタフがいるらしく、
その聞いてみると、
他のスタッフで話せる人がいることを教えてくれた。
スタッフからシーツを受け取ると、
階段を使って3階にある部屋に入った。
他にも何人か客はいたようだった。
妙な疲れがあったので、
着替えはしたが崩れるように眠りに入った。
本当に、実に長い一日だった。