随分寝た。
シャワーを浴びて身支度をして9時に宿を出た。
外は真っ白な視界が広がっていた。
霧である。
昨日駅から来た道をたどり、
途中にあったミニスーパーで水とチョコレート、
それにバゲットを買い駅までの道を歩いた。
駅に着くとチケットカウンターで、
ポストイナまでの往復チケットを買った。
プラットフォームで先ほど買った朝食として、
バゲットやチョコレートをハトやスズメに見られながら、
パクついた。
所々に落書きが施された列車は、
20分弱遅れてプラットフォームに入って来た。
乗車後暫くすると、
男性の売り子が飲み物やスナックを売りに来た。
日本では観た記憶がなく、珍しい光景に思えた。
列車に乗ってから時計が10時半を回った頃に、
霧を抜けて晴れ晴れとした天気になっていた。
11時なると、とても”地方的な”駅ポストイナで下車した。
なにもない片田舎である。
駅を出ると、本日の目的地である
鍾乳洞への道を示す立て看板があった。
看板が指し示すなだらかな丘を下っていった。
途中どうも行き過ぎたように感じたので、
人の良さそうな老夫婦に道を尋ねた。
大分迂回はしたけれど、なんとか目的地までたどり着いた。
チケットカウンターで16€を支払い、
ちょうど12時の回に参加できた。
鍾乳洞に入るとまずスタッフに写真を撮られ、
ディズニーランドよろしくトロッコ列車に乗せられた。
リアルテーマパークだ。
これがすこぶる楽しい。
トロッコは結構奥まで走って行き、
時には頭にぶつかりそうなくらいに鍾乳石が迫ってくる。
面白い。
洞内は撮影禁止で写真が一枚も撮れなかったのは残念だが、
もの凄く楽しんだ。
愉快だ。
細長いスパゲッティー鍾乳石や、
たたくと管楽器のような甲高い音のなる鍾乳石、
最後にはコンサートホールにもなる広場と、
恐竜の化石を拝み外に出た。
因にここには、
ホライモリという盲目の両生類が生息しており、
別料金で見れる場所がある。
当然、観ない。
だって金がない。
それから今回の大本命レジャマ城、通称洞窟城へ向かう。
地図で見るに12キロ弱といったところか。
当然ヒッチハイクだ。
と、勝手に納得して再び歩を進めた。
歩きながら車が通り過ぎるたびに、
片手をぐいっと上げて握りこぶしに親指を立てた。
何台も何台も通り過ぎたが、
めげない!
漸く止まった車が途中まで乗せてくれた。
その後山道を歩き森を抜けると草原が広がっていた。
ちょうどそこには山羊やら羊やらがおり、
奴らは何を思ったのか、
こちらを見るや全員で集まって来た。
ちょっと彼らと和んでから再び車が止まった。
今度は目的地まで運んで行ってくれた。
風景も含めて良いところである。
城は確かに洞窟に挟まった格好で聳えていた。
7€という入場料はぼったくりの用に感じたが、
一応入ってみたが特に感動も無く出た。
外から見るのがよろしい。
富士山とかと同じ類だ。
随分疲れた。
熱は無いだろうが風邪気味である。
怠い。
帰りも当然だがヒッチハイクで頑張った。
なんとか戻れた。
合計4人のドライバーにお世話になった。
逆にこんなど田舎なので、
もっとスムーズに乗せてもらえると思ったが、
酷く時間がかかってしまった。
小腹も空き始めていたので、
帰り道にあったパン屋に入った。
店員は黒目黒髪で、
ちょうどアイスランドの
ビョークのような顔をした美人だった。
駅で次の列車の時刻を確認してから、
少し高台になっている駅から夕焼けを見ていた。
19時くらいにリュブリャナに帰って来た。
車両は結構綺麗で新しかった。
構内を歩いていると妙な、
“日本人的感覚から言えば”
妙なリンゴの自動販売機が設置されていた。
初めて見た。日本にもあるのだろうか?
疲れ果てて戻った宿には、
日本の筑波大学に留学経験のある
マテヤ・クランツという女性がレセプションにいた。
もともと群馬に留学した事のある女性が
働いているとの事で泊まりに来た宿だが、
その人には会えずじまいであった。
しかし彼女との会話は弾んだ。
英語で会話をしていたので、
彼女がどの程度日本語を操れるのかは、
皆目見当がつかない。
クロアチアの時にしてもそうだが、
異国で日本の事を
“好き”
と言ってくれる人に遇うのは甚だ嬉しい。
夕食に隣のピザ屋で買っピザをパクつき眠ろうとしたが、
オーストラリア人と思われる男二人がいつまでも喧しくなかなか寝付けなかった。