墨と玖#4 トランジットその2


少し寝入ったあとラウンジを出て、
とりあえず手荷物検査と出国検査を済ませに動いた。
フィンランドの時のように顔写真を撮られて、
パスポートをスキャンする簡単なものになっており、
出国スタンプも割愛された。
なんとなく淋しい気もした。
尤も自分も今回から電子書籍に変えているので、
言えた口ではないのだが。

搭乗口は45番ゲートだったので、
結構な距離を動く歩道にて移動することとなった。

搭乗口前にたどり着くと、
窓側にゆったりとした椅子があったので腰を下ろした。
眼の前にこれから搭乗する
ボーイング787-8型機が堂々とある。
天気もよく、いい眺めだ。

すぐ横では、おそらくハーフであろうメキシコ人の子供が
ペラペラの日本語を話していた。
それに対して父親はスペイン語で返すという
面白いことになっていた。
親もそうだが子供も見事なものである。
きっと母国のメキシコに帰るのであろう。

成田ーメキシコシティを結ぶ、
この便は2017年2月15日新規就航したばかりで毎日飛んでいる。
航行距離も全日空最長の約11,270km。

これまでアエロメヒコが独占状態であったところに、
なぜ全日空が就航したのだろうかと疑問に思う。

メキシコは世界50カ国以上と自由貿易協定(FTA)を締結しており、
日本とも日本・メキシコ経済連携協定(EPA)を2005年より発行。
現在では自動車無税枠等の影響から
メキシコへ進出した日系企業数は2017年時点で1100社超。
2016年時点で日系企業海外進出国ランキング12位、
かつ伸び率はカンボジアに次いで2位。
ここ10年で3倍も増えている。
定期便を飛ばすのも十二分に頷ける。
おまけにこちらの路線は成約があり、
メキシコシティが高地であるということ。
標高にして2,230mで空気が薄い分、
揚力が低地に比べて得られず、
離陸時の滑走距離も長くなる。
そのためにエンジンも通常のものではパワー不足となるため、
高地対応のエンジンを積んだ特別仕様である。
それでも満席にできない、
夜間離陸(復路は深夜1時発)という制約付きである。
全日空の本気が伺える路線だ。

16:10搭乗が開始されNH180に搭乗した。
座席は窓側の28K。
つい4日前に電話予約した際にお願いした通り、
成田に来るときも含めて窓側になっていた。
ちょうど翼にかからないようにと、
配慮もされていたことがまた心地よかった。

しばらくしてほぼ定刻通り飛び立つと、
ちょうど日が沈み出していた。
海が陽の光を受けて
なめらかなベルベットの生地のような模様をつくりあげていた。


左利き(酒飲み)で旅好きなアラサー男子。 猫好きのバイク乗り。 カワウ速報の由来はカワウソに似ている、 ということをきっかけにカワウソ推しになったからと、 単純にダジャレを使いたかったから。

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