墨と玖#6 メトロ

メキシコに到着すると流石に暑く、
トイレですぐに着替えた。
空港内ではクレジットカードを使って、
ちょっと多い気もしたが、
一回で済ませたかったので、
ATMから5,000MXN（メキシコペソ）をキャッシングした。
１ペソが5.7653円のレートだったので、
日本円で28,826円になるわけだ。

これは借金をするという事と同義なので、
ここからクレジットカードの締日と返済日から利息が決まってくる。
例えば2月18日にキャッシングをした場合、
締日が毎月15日で引き落としが翌月10日であれば、
4月10日が返済日となり、
51日間分の利息が年利18％の計算で発生してくる。
つまり、
28,826円（借入金）×18％（年率金利）÷365日×51日（借りた日数）
＝724円（利息）が発生するわけだ。
キャッシングを締日ギリギリにしたほうが金利は安く済む。
更にこれとは別に海外キャッシングをすると
ＡＴＭ利用手数料として一万円以下で108円、
一万円超で216円が加算される。
ちなみにこれは三井住友カードの場合である。

治安が悪いと日本では思われているメキシコ。
空港からの移動はガイドブックなどではタクシーを推してくる。
メトロバスですらメトロよりマシだがスリが〜等と煽ってくる。
スリなんてどこでもいるだろう。
各料金は、
タクシーで200ペソ程度
メトロバスで30ペソ
メトロで5ペソ。
最近はUberを使う人も多いが一人では割高。
（メキシコはUberがかなり浸透している。）

これはもうメトロで移動するしかない。
声をかけてくるタクシードライバー達に一瞥もくれず、
空港の1番出口の方へ向かった。
案内板を頼りに進んでいくと、
すんなりとメトロの駅にたどり着いた。

メトロは片道５ペソで距離に関係なく同一料金で良心的。
分かりやすくて良かった。
某国のように乗越精算もできず、
即罰金の国と違って旅行しやすい。
メキシコシティの地下鉄は、
フランスが技術提供しているのでパリっぽい。
一番好きなところはすべての駅に、
その土地に由来するピクトグラムが描かれているところだ。

日本であれば、
ゆりかもめの各駅に設けられた伝統文様も好きだ。

世界で初めて各駅に
シンボルを設けたのがメキシコシティメトロ。
そんなことでも有名だ。

もう少しだけ話を掘り下げると、
このデザインは1969年のもので、
デザイナーはランス・ワイマン氏。
彼はこの一年前にあたる1968年に開催された、
メキシコシティーオリンピックのピクトグラムも手がけている。

こんなにカラフルなデザインのものは、
1968年から2016年のリオオリンピックに至るまでの間に登場していない。
経緯としては、
1970年のFIFAワールドカップが控えていたため、
外国人を迎え入れるのと、
当時のメキシコは決して識字率が高くなかったために、
文字ではなく絵を主役にしたデザインにしたわけである。
今見てもオシャレだし、絵だけでわかるなんて秀逸だ。
ぜひとも日本国内もアルファベットと数字なんて表記は、
やめてもらいたいものである。

テルミナ・アエレア駅(Terminal Aérea)からメトロ5号線で、
パンティトラン駅(Pantitlán)からメトロ1号線で
ピノ・スレアス駅(Pino Suárez)で2号線に乗り換えて
小一時間かけて、ヒダルゴ駅(Hidalgo)に着いた頃には、
腕時計は16時を回っていた。
目的地はサンフェルナンド館という宿で特に予約はしていない。
メキシコシティでは有名な日本人宿である。（日本人経営ではない）
特徴的なピンクの建物で駅からは近いが、
一本奥に入るのでとても静かである。

建物の前に到着すると何も書かれておらず、
入り方がよくわからなかったが、
鉄格子から手を伸ばしてブザーを押すと、
メキシコ人の男性が「トモダチ！」
と言いながら鉄格子と玄関の扉を開け迎えてくれた。