「アブドゥル・ダムラル・オムニス、
ノムニス・ベルエス・ホリマク!
我とともに来たり!我とともに滅ぶべし!」
手塚治虫の代表作三つ目がとおるで写楽保介が唱える呪文だ。
幼いときに気がつけば覚えていた呪文の数々。
「エロイムエッサイム、我は求め訴えたり!」、
「オンキリキリバサラウンバッタ」、
「エコエコアザラク」、
「臨兵闘者皆陣烈在前」。。。。
これまでのところ
人生の役に立ったことは当然ながら無い。
それはさておき、
三つ目がとおるが浮かんだのには理由があった。
メキシコが舞台の話があったからである。
忘れもしない、1995年。
手塚治虫〜過去と未来のイメージ〜展へ母と一緒に行った際に、
図録とは別に1冊だけ漫画の購入を許された。
手にとったのは三つ目がとおるの第八集。
なんとなく最終巻を選んだ。
というのも当時は漫画を全巻揃えるなんて、
夢のまた夢。
想像すらつかない。
なので買い方も1巻からではなく、
今出ている一番新しいものだったりしていた。
どの漫画も飛び飛びで数冊所有できるのが精一杯。
表紙には背景に太陽のピラミッド、
手前にはケツァルコアトルのレリーフに
片手で掴まっている主人公が描かれていた。
これこそがメキシコが舞台に描かれた作品を
生まれて初めて手にとった瞬間であった。
そんな昔の記憶を思い出しながら
ティオティカワンを南北に貫く死者の大通りを
ケツァルコアトルの神殿がある南側から
北へ向かって歩いていった。
全長3,316m、幅40~60mの大通り、
緩やかに傾斜しており北のほうが高く、
その落差は2.7mある。
不思議なのは、
高度な文明を有していた人々が造ったのにもかかわらず
東西南北に対して
15.25度時計回りに回転した方位となるよう建設されている。
これは明らかに何かを意図したとしか考えられない。
諸説あるがどうも宇宙と関係しているようで、
太陽系の惑星軌道をコピーした配列になっているようだ。
現代より夜がしっかりと暗い古代のほうが、
よほど宇宙については色々と観察、想像をしたことだろう。
また、この傾きにより8月13日と4月30日の日没が
太陽のピラミッドの正面に来る。
2月11日と8月29日の日の出が
太陽のピラミッドの真後ろにくるようになっている。
魅力が溢れすぎていて興味が尽きない。
歩いていくと左右にはかつて、
住居として使われていたような遺跡が点在しており、
ここでは大規模な火災が起こったらしい、
それ自体が既に高度な技術があり、
なにかの化学薬品でも使っていたという
裏付けになるんじゃないかと思う。
というのも実際にケツァルコアトルの神殿には、
地下があり深さ17mの
100m超のトンネルが発見されている。
そのトンネル内で発見されたものになんと水銀があり、
水銀は辰砂を約600℃に加熱をして、
はじめて水銀単体が遊離する。
少なくともその技術は持ち得ており、
同地下には、400個以上の金属で覆われた球が、
見つかっている。天文学が進んだ文明なのだから、
地下に夜空を再現したのかもしれない。
もっと飛躍させると、水銀は超伝導体のひとつなので、
何らかの形で超低温にして発電所のようなものを造っていたのでは?
(水銀は-268.8℃以下になると電気抵抗がなくなる)
炎天下の中妄想を繰り返しているうちに
目の前には太陽のピラミッドが堂々と構えていた。
