目が醒めたのは7時半ごろだった。
朝食は8時からということだったので、
誰もいない共同シャワー。
溜まっていた洗濯物と一緒に入るとバルブを捻った。
280mlペットボトルに詰めた洗剤を使って、
足を使い、体の汚れとともにギュッギュッと洗い流した。
衣類については、汚れよりも寧ろ、
臭いの良し悪しのほうが個人的には大事である。
8時から始まる朝食はごく簡単なもので、
4種類ある中から選ぶがどれもほとんど同じ。
韓国人青年とウルグアイ人の老夫婦の4人で食事をとった。
稚拙なスペイン語で簡単に挨拶だけはしておいた。
一緒に食事をする相手がいると、
パンに薄いハムとチーズしか載っていない、
お世辞にも十分とは言えない皿が眼前にあったとしても、
おいしく頂けるから不思議だ。
韓国人の青年は合計で三か月欧州を回る予定らしく、
兵役も済んだであろうのに、
どこか柔和な面持ちで少々頼り甲斐のない感じがした。
というより体力的でなく文化的な男だった。
そういった意味で、
今まで出会った韓国の男とは随分と違う印象を受けた。
準備を済ませ気持のよい朝を歩いた。
大通りを除けば車も少なく比較的に空気も綺麗だった。
穏やかな河の流れを愉しめた。
近くにある南教会に行った。
白地に赤がお洒落な教会である。
入る手前に教会から出てきたアメリカ人らしき男性が、
「ここは中のほうがスゴイ」
と言っているではないか。
実に興味をそそる。
そんな言葉に誘われて入ってみた。
するとまったくと言っていいほどに宗教色はなく、
現代アート然としたものが展示されていた。
確かにすごかった。
教会を後に中央駅へ向かい、
ユトレヒトへ行くことにした。
プラットフォームで列車を待つ間、
隣のベンチに母子3人が座っていた。
子供はこちらが欲しそうな顔をしていたと踏んだのか、
持っていたメントスを一粒くれた。
育ちが良いのだろう。
ホームに入ってきた列車は2階建の列車だった。
列車に乗り込むと階段で上に上がり
母子と一緒に入口すぐのところに腰をおろした。
走り出して一駅目に着くと、
母子はにっこりと微笑んで出て行った。
20分ほどでユトレヒトにつくと駅に観光案内がなかった。
困った。
しかしすぐに警察官が歩いているのを見かけ、
この街で一番高い塔の横にある
観光案内に辿り着くことができた。
まさに渡りに船だった。
案内所で地図をもらうと、
日本語表記だったのには嬉しく思った。
日本から9,000km以上離れた遠い異国の地で、
わざわざ母国語表記の地図が用意されているのは、
やはりすごいことだと思う。
この後、うさこちゃんことミッフィーの作者、
ディック・ブルーナー・ハウスへ行った。
ここにも日本語が満載であった。
漫画あるところ日本人有りなのか、
というのはわからないが悪い気はしない。
黄金のうさこちゃんを拝んでからアムステルダムに戻った。
町並みも本当に美しいユトレヒトだった。