リュブリャナから出た列車は
6時間ほど掛けて22時少し前にウィーンに着いた。
あたりはもうすっかり真っ暗だった。
Uバーン(ドイツ語圏での地下鉄の意)で
目的のユースホステルの最寄り駅へ向かった。
乗った矢先に私服警官が現れた。
手前の客から順に乗車券所持の有無を確認し始めた。
するとちょっと周りから浮いている風の
ツーリストと思われる2人の若い女性のところで止まった。
無賃乗車だった。
単にルールを知らないだけだったのかもしれないが、
罰金は確か40€じゃなかったかしらん。
日本と違ってのりこし精算のないヨーロッパ。
怖い怖い。
駅についてからは歩いてホステルへ向かった。
しかし歩けども歩けども全然見当たらない。
詳細な地図も持っていなかった為にかなり迷った。
体調の悪い中に寒空のもと、
大荷物を担いで動き回るというのは、
ちょっと気の利かない冗談であった。
それでもなんとか辿り着き、
ホステルがつぶれていない事に胸を撫で下ろした。
会員価格で一泊16.5€の宿泊費を三日分カードで支払い、
鍵を受け取ると早々に部屋へ向かった。
部屋を確認して、扉を開けると先客が居た。
モスクワから来たというオヤジがいた。
非常に疲弊していたので日本のやくざがどうだとか、
話しかけられたのには非常に気が滅入った。
オヤジには申し訳なかったが、
構う余裕もなく早々と寝入ってしまった
翌朝目を醒ますと体調が恢復していないことがわかった。
今までで一番怠い。
ピークだ。
それでも無料の朝食を食べに行った。
あれだけ充実したドイツユースを想像して、
お隣ということで期待していたがたいした事は無かった。
紅茶がおいてあったのでミルクティーにして、
たっぷりと水分を吸収した後、
再び部屋に戻りベッドで横になった。
9時を廻ってからやおら立ち上がり、シャワーを浴びて
13時頃にようやく外に出ることができた。
すぐ帰る筈が結構プラプラして帰りに美術館にまで入った。
ムンクやクリムトの作品を一瞥して戻り、
このまま帰るのも癪だったので、
レストランに入りビールとプレートを一つずつ注文した。
はっきり言って不味かった。
グヤーシュのような料理でメインの肉自体はまあ良かったが、
全体のバランスが最低で食べられた物ではなかった。
体調の悪さも手伝ってトイレで吐いてしまった。
すっきりした。
ふらふらとした足取りでホステルまで帰り、
草臥れた身体をベッドに預けた。
しかし寝みたいのみなかなか寝付けない夜だった。